その瞳に映るのは
三島は俯向いてメイド服のスカートを両手で握りしめていた。
「三島?大丈夫か?」
声をかけるが三島は微動だにしなかった。
よく見れば三島は俺と同じスーパーの袋を持っていた。
「……俺、親に頼まれて牛乳買いに来たんだ。三島もお使いか?」
牛乳の入ったスーパーの袋を見せながら声をかけると、やっと三島がこっちをチラリと見た。
その時、今にも泣き出しそうな瞳が一瞬だけ見えた。
「……その服、三島にすげぇ似合ってるな。可愛いけどちょっとここじゃ目立つから送ってくよ。三島、後ろ乗って。」
俯向いたままの三島だが、俺の言葉を聞くと少しだけ首を縦に振ってそのまま大人しく俺の背後で横座りした。
そして俺のシャツを遠慮がちに握ったのを確認すると「行くよ」と声をかけてから自転車を走らせた。