その瞳に映るのは
「俺は三島の可愛い格好見られてラッキーだよ。俺以外の奴に見られてない?
他の奴に見られた方が面倒になるからな。」
泣いているのか、三島は大人しく俺の腕の中で俯向いたまま頭を左右に振った。
「…いつも…普通のなの……常連さんが…。お父さんも…このままで買出し…。」
いまいち話がわからないが、多分三島はこの格好が嫌なんだろう。
なのにこの格好のまま父親に買出しを頼まれた、ってとこかな?
「お父さんに悪気はなかったんだろうけど、この格好で外に出るのはもう止めろよ。……店に行ったら俺が三島のお父さんに注意してやるよ。ナンパされるから止めてくれって。」
そうだ。絶対止めさせよう。
俺以外の奴にこんな可愛い格好見せてたまるかっ。
俯向いてる三島の頭を見つめていたら頭を撫でたくて無意識に右手を動かそうとした。
……くそっ!
自転車停めておけば良かった…。
自転車を支えてる右手を放すことが出来なくて、思わず腰にまわした左腕に力が入った。