その瞳に映るのは
1時間程前、メイド服の三島を抱き寄せた場所のすぐ近くに三島の働く喫茶店があった。
元は祖父が始めた喫茶店らしくレトロな雰囲気で店の前を歩いたとしても気付かないようなひっそりと佇む喫茶店だった。
客も先代からの常連さんや近隣の商店街の店主らが多くて若者は三島しかいないらしい。
おかげで俺が店に入ると常連さんや三島の父親に「紗夏がイケメンを釣ってきた!」と騒がれた。
三島が赤い顔で慌てて同じクラスの同級生だと言うと「紗夏の彼氏か!」と嬉しい誤解をされたから否定しなかったのに三島に否定された。
俺がカウンターに座る常連のじいさんに捕まって三島の幼い頃の話を聞いているうちに、三島は父親に文句を言いながら例の二人組の男の話をしたようだ。
偶然居合わせた俺に助けられたと説明したようで、俺がじいさんの話を楽しく聞いていたら三島の父親にコーヒーとチーズケーキを出されて感謝された。