その瞳に映るのは



無意識にピクリと動いた右手は無機質な鉄の感触を伝えた。



握った自転車のハンドルのおかげで意識がはっきりと戻った。



まただ……。

本当にヤバいな俺……。



三島に気付かれないようにそっとため息を洩らす。




そして。

このまま告白してしまおうか。




そんな気持ちが一瞬過ぎった。



でも、三島の服を見て可愛いかったメイド服姿を思い出した。



そうだ。

今ここで告白しても上手くいくわけない。

やっと今日ゆっくり三島と話せたばかりだ。

仮に、本当に相思相愛だとしても、三島が「内緒にして」と嫌がった姿を見た俺が付き合ってくれと言っても脅しにしか聞こえないかもしれない。



……告白はまた別の日に……。



そう考えようとするが、渡辺の動きにも牽制をかけたい。



どうするかな……。

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