その瞳に映るのは
「……紗夏。」
「………え?」
しまったっ!!
欲が口に出てたっ!!!
「あ……松田がそう呼んでたから。ほら、明日店に行って話すときに三島だと三島のお父さんが返事するかもって思ってさ。
……三島が嫌じゃなければ紗夏って呼んでもいいかな?
あ、もちろん学校では呼ばないようにするからっ。」
ダメ元で言い切った!
上手く誤魔化せたか?
でも出来るなら紗夏と呼びたい。
祈る気持ちで三島を見つめた。
ほんの数秒視線が合ったままだったが、やっと話しを理解したのか、三島の顔はこれ以上ないくらい赤くなっていた。
そして慌てて視線を逸らして俯向いた。
………欲張りすぎたか……。
視線を外らす見慣れた姿に浮足立っていた気分が底無し沼に墜ちた。