その瞳に映るのは
…。
右手は自転車に縛られていたんだった…。
それでものばした左手を止めたくなかった俺は紗夏の頭に手を乗せた。
「じゃあ慣れるまで何回も呼ぼうか?」
「い、いきなりは無理っ。」
声をかけながら頭を撫でた。
指が滑る柔らかい髪が俺の欲を狩りたてる。
もう少しだけこのままーーー
「明日、めちゃくちゃ部活頑張って腹減らして行くよ。…紗夏は店で何か料理したりする?」
心地よい感触の髪を指先に絡ませる。
「……料理はほとんどお父さんが作るから……。焼くだけなら…ピザとかトーストとかなら私も出来るけど。」
「じゃあ明日、ケーキの前に紗夏が焼いたピザ食べたいな。あ、ちゃんと金払うからさ。」
髪を一房手に乗せて滑らせていくと紗夏の頬近くに手が降りていた。