その瞳に映るのは


俺の手の気配に紗夏の身体が強張る。



「う、うん。じゃあメール来たらピザを用意しとくね。」



俺の手に耐えきれなくなったのか、紗夏がパッと赤い顔を上げた。



瞬時に近い位置で視線が合った。




………。




紗夏の視線を逸らすことが出来なかった。



頭の中ではダメだとわかっていたが、左手は勝手に紗夏の頬に触れた。



手が触れた瞬間、紗夏はギュッと目を瞑った。




その姿が……。

何故か少し苛立ちを覚えた。





なんで前みたいに目を外らさないんだ?

これじゃ俺にキスされてもいいみたいじゃないか。

彼氏でもないのに。



……まさか、他の男にも同じことされたら目を瞑るのか?



……渡辺にも……?

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