その瞳に映るのは


スマホをポケットに滑り込ませて空いた手を再び紗夏の頭に軽く乗せた。



「そろそろ行かないと夕飯無くなるから帰るよ。明日、ピザとケーキ楽しみにしてるから。」


軽く頭を撫でると、さっき俺に見せた不安げな表情が消えてまた顔が赤くなった。


その表情の変化をはっきりと目にした俺はまた気持ちが高揚した。



そうだ。

誠に肩を抱かれても紗夏は反応しなかったんだ。

さっき目を瞑ったのも、俺だったからだ。

他の男が相手なら紗夏もきっと逃げるだろう。



俺はそう自惚れることに決めた。



「うん。また明日ね。」


照れくさそうに微笑む紗夏。



やっぱり可愛い。

やっぱりさっきキスすりゃよかったな。



なんて思いながら紗夏の頭を撫でていたら再びスマホが邪魔をした。



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