その瞳に映るのは



部屋に入ると誠は俺の机を物色し始めた。

俺は紗夏の父親がくれたクッキーをバッグから取り出して、ベッドを背に寄りかかってクッキーを食べ始めた。


それを目ざとく見つけた誠。


「あ、クッキー頂戴。」


「一枚もやらねぇよ。」


紗夏が作ったクッキーはデザートに添える為に作ってるようで、店で売っているわけではない。


紗夏の父親がお礼だと言って特別に分けてくれたクッキーだから誰にもやるつもりはない。


あの頃から紗夏はその為にクッキーを焼いていたのだろうか?

何気に毎回、味が違った気がしたけど。

型で抜いたクッキーでなく多少不揃いな手作り感溢れるクッキーを思わず見つめていた。


< 148 / 370 >

この作品をシェア

pagetop