その瞳に映るのは
「…俺は誠に言われるまでずっと紗夏に嫌われてると思ったからな。」
「……なんでお前らそんな事になったんだ?」
誠の問いかけに俺は中1のホワイトデー前に紗夏に電話をかけた話をした。
それからずっと紗夏に話しかけたくても避けられてたこと、それが誠に注意されるまで続いてたこと。
一通り聞いた誠は再び椅子にもたれかかって深いため息を吐いた。
「やっぱガキだなお前。」
予想通りの言葉が聞こえて思わず苦笑いをした。
「さっさと電話して謝れば済む事を何年こじらせてたんだよ。」
呆れかえる誠に何も言えず、代わりにクッキーを口に放り込んだ。
「……それ、三島が作ったクッキーなのか?」
さすがに想像がつくか。
「…母さんの指令で牛乳買いに行ったんだよ。そこで紗夏に会ってすぐ近くの紗夏の親がやってる店に寄ったんだ。そしたら紗夏の親父さんがくれたんだよ。紗夏の手作りだって。」
「そっか。……なら大丈夫そうか?」