その瞳に映るのは


「マジか?」
「え?本当なの?」


二人の問いかけにうんざりした表情を見せた成瀬くんが話を切りあげた。



「女と会ってたのは本当だ。だから何だよ。もうチャイム鳴るぞ。さっさと去れ。」

「……マジか。」
「へぇ〜。じゃあ放課後部活で詳しく聞かせろよ。」



後から来た男子は放心してる男子を連れて教室を去って行った。

それを見てから私も前を向いた。

いつから立っていたのか、美優ちゃんと渡辺くんがすぐ横に立っていた。



「あ、おはよう美優ちゃん、渡辺くん。」


「…おはよう紗夏っ!」


美優ちゃんが挨拶しながら抱きついてきた。


「……おはよう。」


渡辺くんは何か言いたそうな雰囲気で挨拶した。


「…渡辺くん?何かあった?」

「いや、何でもない。」


渡辺くんはそう言って自分の席に着いた。

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