その瞳に映るのは


考えただけで憂鬱になるからクラス替えの事は考えないようにしていたけど。


「そっか。修学旅行もあるんだよね」

「そうなんだよ〜」

渡辺くんの机に頬をくっつけるようにして私の方を見てる美優ちゃんの視線は、私が持つお弁当に注がれていた。

唐揚げをお箸で持ち上げると美優ちゃんの視線も同じように動いた。

その唐揚げを空中であちこち動かしてみるとまた目で追う美優ちゃん。

そのまま美優ちゃんの口元に寄せるとあんぐりと口を開くから、唐揚げを口の中に放り込んであげた。


「美味ひ」
「三島さん、俺の机で変な生き物に餌付けしないで。」

「あ、ごめん。」


あ。

つい反射的に謝っちゃったけど、美優ちゃんは変な生き物じゃない。



購買からメロンパンや飲み物を買ってきた渡辺くんが美優ちゃんを椅子から退けようとするが美優ちゃんはガンとして譲らない。

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