その瞳に映るのは
やっぱり渡辺くんはいなかった。
教室のある校舎とは別の校舎の空き教室で女子3人と私だけ。
「宮野があんた探して来るかもしれないからさっさと話すけど、なんであんたが呼び出されたかわかる?」
3人の女子からはあまり険悪な雰囲気を感じなかった。
でも面倒くさそうに問いかけられたから私も正直に答える。
「……私が気に入らない、から?」
「分かってんじゃん。
なんであんたみたいに地味な子が渡辺の隣りにいるのよっ!」
「それは席替えで隣りにな」
「席の話なんてしてないわよっ!」
「え?だって、隣り」
「渡辺の隣り、って言ってんでしょっ!彼女の立ち位置ってことよっ!」
「彼女の立ち位置?……私が?美優ちゃんじゃなくて?」
「あんた…松田が彼女だと思ってたの?」
「え?いや、美優ちゃんは彼女じゃないよ。」
「じゃあ渡辺の好きな子ってあんたは誰だか知ってるの?」