その瞳に映るのは


「止めてよ!今くらい紗夏とイチャイチャさせてよっ!」

「なんだよイチャイチャって。相手がお前じゃ三島が可哀想すぎるだろっ。」



…………どう返事したら正解なの?



「ってかお前ら何やってんだよ…。」

一緒に買いに行った宮野くんが呆れながら自分の席に着いた。


「ったく。松田に聞けよ。」


仕方なく諦めた渡辺くんは空いていた成瀬くんの前の席に座った。
成瀬くんは、興味無さそうに自分の席に着いていた。



「あと少しで紗夏とクラス離れちゃうかもしれないじゃん。」

「あー…それな。俺も今のこの席が一番ラク出来るからな。離れがたいのはわかるな〜。」

「松田と毎日騒いでるくせにどこがラクなんだよ。」

笑いながら宮野がパンにかじりつく。



この席になって、渡辺くんと成瀬くんが親しくなってからはいつもこんな感じになっていた。

渡辺くんと美優ちゃんの痴話喧嘩に宮野くんが突っ込み入れて、たまに渡辺くんが私や成瀬くんに話を振る。
でも、私も成瀬くんも最低限の返事をする程度。


近い位置にいても私と成瀬くんが直接会話することは絶対ない。


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