その瞳に映るのは
「三島っ!」
教室のある校舎に戻って来たところで名前を呼ばれた。
いつの間にか俯向いていた顔を上げてみるが前の廊下には見知った人がいなかった。
「三島さん、あっち。」
高田くんがこっそりと耳打ちしながら左を指差した。
「三島、そのままじっとしてて。」
隣りにいた王子くんが私の前にきて手を伸ばしてきた。
その手を見て反射的に俯向いた。
またさっきみたいに頬を触れられるっ!と思った故の行動。
それでも俯向いた時に高田くんが指差した方をちらりと見ると、横の廊下の先に渡辺くんがいた。
渡辺くんは立ったまま静止していた。
何か驚いてるような表情。