その瞳に映るのは


びっくりして成瀬くんを見た。



「紗夏、今日…昼間はごめん。」



成瀬くんが突然謝ってきた。


けど、何の事を謝っているのか分からなかった。


「昼間?何かあった?」


私が問いかけると少し言いづらそうに呟いた。


「昼休みに……廊下で呼んだ事と……。」



昼休み、廊下。

それだけで言いたい事が分かって胸が締めつけられた。



「大丈夫だよ。心配してくれたからでしょ?」



学校で名前を呼ばれた事、そして一瞬だけど抱きしめられた事。



嬉しかったはずなのに今は思い出すと胸が苦しくなる。



だから、やっぱり私は成瀬くんの側にいられない。

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