その瞳に映るのは
仕事が終わるとまた成瀬くんが送ってくれると言い出した。
でも、昨日みたいに誰が見てるかわからないから遠慮したのにお父さんが口を挟んだせいで結局送ってもらう羽目になった。
でも、昨日とは違った。
帰り道、成瀬くんは無言だった。
私も何も話しかけられなかった。
お互い、何か言いたいけど言えない、そんな雰囲気のままで気付くと家に着いてしまった。
「…送ってくれてありがとう。ケーキ、そのままでも食べられるから良かったら食べてね。」
一つはお店で食べてくれたから、残り2つを箱に入れて店を出た時に成瀬くんに渡していた。
「美味しかったから全部俺が食べるよ。
本当にまた紗夏の手作りが食べられると思わなかったから凄ぇ嬉しかった。ありがとう。」