その瞳に映るのは


成瀬くんにお礼を言われただけで十分だ。



「あの、成瀬くん。」


「何?」


「……あの…こんなこと言える立場じゃないのは分かってるんだけど…
もうお店に来ないでほしい。」



言えた。


その後は用意してたかのようにスラスラと言葉が出た。



「また誰に見られるかわからないし、無理にうちでお金使ってほしくないから。」


「………それって」
「そ、それでね、朝の挨拶も、もう大丈夫だから。やっぱり成瀬くんが私だけに挨拶してるのは変だと思うし、中1の時のことを気にしてるならもう平気だから。
…だから、もう私に気を使わないで。」



言えた。


成瀬くんの顔は見られないけど言えた。

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