その瞳に映るのは

打開策



翌日。



修学旅行まであと2日。




今朝も成瀬くんは挨拶をしてくれた。

けど、どうやらわざわざ前のドアから入ってきたみたいで私の机の横を通るようにして、横を通り過ぎる時に挨拶してくれた。



私が挨拶された事に気付いて本から顔を上げた時にはもう成瀬くんは自分の席にバッグを置いていた。



慌てて挨拶しようかと思ったけど、成瀬くんは私の方を見ようとはしなかった。



『俺が挨拶したいから…』



昨日の成瀬くんの言葉が頭に浮かんだ。




……私は……。




「成瀬くん、おはよう。」




そう声をかけただけで成瀬くんを見る事は出来なかった。


声をかける一瞬だけ成瀬くんの方を見ただけですぐに顔を自分の机に向けた。



修学旅行が終わるまでは同じ班だから変に思われないよね?


自分にそう言い訳をして、席替えまでは挨拶されたら返そうと決めた。


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