その瞳に映るのは
「……三島さん、ちょっとごめんね。」
猪瀬さんは私が持ってきた運動着の入った袋に手を伸ばして取り上げた。
まさかそんなすぐに気付かれると思わなくて焦った。
「い、猪瀬さんっ!あの…。」
すぐに取り返そうとするが反射神経も身長も足りない私には為す術がなかった。
猪瀬さんは袋の中から運動着を取り出して数秒後には無言で袋に入れ直した。
それを横で見てた美優ちゃんが袋を引ったくった。
「これ今から先生に報告してくるから借りるね。」
そう告げると更衣室を飛び出して行った。
「三島さんごめんね。でもこういうのはお願いだから私達に隠さないで。」
猪瀬さんは私を抱きしめて心配してくれた。
それがすごく嬉しくて申し訳なかった。
結局、猪瀬さんや美優ちゃんにまで心配させてる自分が情けなくて仕方なかった。