その瞳に映るのは
「…俺、王子のとこに行ってくる。」
成瀬くんの声が聞こえて気配が遠ざかった。
その行動に思わず成瀬くんの背を見つめる。
「とにかく後で対策会議だな。」
はぁとため息をついた宮野くんが少しだけ優しい表情になって私の頭を撫でた。
「三島、大丈夫だからな。でも、他に何かあったら小さい嫌がらせも全部俺らや猪瀬に言えよ。絶対隠すなよ。」
猪瀬さんと同じこと言ってくれた宮野くん。
それが嬉しくて素直に頷いた。
「ありがとう宮野くん。何かあったらちゃんと言うよ。」
自分で自分が情けないけど。
私の代わりに怒りを露わにして心配してくれる人がいる。
情けない自分だけど、私は幸せ者だと痛感した。