その瞳に映るのは



だから舞い上がっていた。




昼休みに宮野が慌てて教室に駆け込んで来て、紗夏が他のクラスの女子に呼び出されたと聞いた瞬間、いても立ってもいられなくて慌てて探しに飛び出した。



この高校に紗夏が親しい女子は松田達しかいない。
他のクラスの女子と話してるとこなんて見た事無い。



だから嫌な予感がして無意識に駆け込んだのは屋上だった。


でも文化祭や特別な時にしか開いてない屋上は当然鍵がかかっていて慌てて引き返した。

上の階から片っぱしに空き教室を覗いたけど紗夏が見つからなくて焦りだけが増した。


1階に降りようとしたところで紗夏を見つけて思わず名前を呼んでしまった。


駆けつけて抱きしめると大人しく俺の腕の中にいる紗夏に安堵した。

けど、紗夏が俯向いたまま俺の事を見ずに離れたから拒絶されたと思った。



だから、店に向かう足が重く感じた。



でも、店で紗夏が昨日と同じように接してくれたからすぐに謝った。


紗夏も許してくれた。


期待してたチョコケーキが格別だったから有頂天になっていた。





< 219 / 370 >

この作品をシェア

pagetop