その瞳に映るのは
「…三島さん、約束してくれる?」
渡辺くんの声で現実に戻され、瞬間的に肌を刺すような視線の針の筵に晒された。
人気の渡辺くんからの誘い。
私にとっては一時でも親しくしてくれた人からの誘い。
断れないし、断りたくない。
でも。
「…私なんかより…他の女子に頼んだほうがいいよ。新しいクラスに出逢いがあるかもしれないし。」
一度声が出てしまえば後は勝手に言葉がつらつらと出てきた。
「私は美優ちゃんのおまけだから、美優ちゃんを誘わないなら私も誘わないで欲しい。」
「紗夏っ!?」
勝手に出た言葉は、私が考えたことすらなかった単語だった。
美優ちゃんのびっくりした声が聞こえたけど言ってしまったからどうしようもない。
「だからご」
「じゃあ、しょうがないか。でも、松田と三島さんと俺の3人が同じクラスになった時は同じ班になる、って約束してくれる?」
「……え?」
いつも私の話を聞いてくれる渡辺くんに言葉を遮られたことに驚いた。