その瞳に映るのは
帰り道は貰えたチョコの事と、このまま告白したい、と考えていたから無言で歩いていた事に気付かなかった。
いつの間にか紗夏の家の玄関で、紗夏に声をかけられて浮足立っていた。
まさか、別れ際にあんな事を言われるなんて思ってもいなかった。
店に来るな。
挨拶するな。
それはまたあの頃のように俺から逃げていた紗夏の姿が過ぎったから、受け入れられず拒否した。
なのに。
俺に彼女がいる?
紗夏でなくて、誰が俺の彼女だと!?
そう思った時に今井を思い出した。
中1で俺から紗夏を遠ざけた女。
まさかと思った。
けど今井でなくても誰かがまた紗夏に何か言ったんだと怒りで現実を忘れてしまった。
紗夏が、俺に彼女がいると誤解してる。
それをどうにかしないと告白なんて出来ない!
そう決意した俺は紗夏がくれた白い箱に手を伸ばした。
途中で箱が倒れないように左手で持って自転車に乗って帰った。