その瞳に映るのは
「おはよう三島。」
窓に張り付いて願掛けをしてしばらくすると聞き慣れた声に少しだけ気持ちが緩んで振り返った。
「おはよう渡辺く…」
声をかけながら振り向くとそこには声をかけてくれた渡辺くんの姿があった。
同時に渡辺くんのすぐ後ろに成瀬くんが立っていた。
成瀬くんを確認した私の視線は驚きのあまりほんの1秒程、成瀬くんを映したまま止まった。
でもすぐに成瀬くんと目が合った。
それが引き金となって弾けるように視線を逸らした。
「2年も同じクラスで良かった。卒業までよろしくな。」
当初の目的通り視線を渡辺くんに戻すと
整った柔らかい笑みの渡辺くんが、嬉しくて残酷な言葉を告げた。