その瞳に映るのは



「言っておくけど、私は成瀬に紗夏の番号を教えた事をずっと後悔してたんだからね。」


木下は悔しそうな表情で俺に声をかけた。


それはきっと、その電話が原因で俺と紗夏が話さなくなったからだろう。



「……悪かったよ。…木下にまで迷惑かけてたなんてな。」



本当に何も気付かなかった自分が嫌になった。



「でも、その成瀬のおかげで俺は有紀と知り合えたから感謝してるけどな。」



木下を抱きしめたままの高田が軽く笑った。



……俺のおかげ?



「それより、今頃私に何を聞きたいの?」



高田の言葉が気にはなったが、木下に本題を振られて慌てて思考を切替えた。


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