その瞳に映るのは
「…うん。卒業までよろしく。」
かろうじて出た声は渡辺くんの言葉を復唱しただけ。
親しく話せるようになった渡辺くんと卒業まで同じクラスが確定したのは嬉しかった。
けれど、教室の窓際にいた私に声をかける為に渡辺くんはすぐ近くまで来ていた。
そのすぐ後ろにいる成瀬くん。
他所のクラスの人がわざわざ別のクラスの窓際まで来るはずが無い。
こんなのほぼ確定したようなものだ。
「成瀬も同じクラスになったから例の件よろしくな。」
残酷な一言、いや二言に立っているのが精一杯だった。