その瞳に映るのは



「雅人、まさか迷ってるのか?」



帰り際、ずっと無言だった俺に痺れを切らしたのか、苛立つように誠が声をかけてきた。



「……しょうがねぇだろ。俺はずっと紗夏に逃げられまくってんだぞ。」



そうだ。



やっと紗夏と良い雰囲気になって家まで送ったのに、次の日にはもう店に来ないでくれと言われた。



どんなに近付いても紗夏は逃げるんだ。



渡辺も紗夏に逃げられた。



だからこそ、今日みたいに親密に話をしてる誠に苛立ったんだろう。



「良い雰囲気になってもその次の日に逃げられたばかりの俺にどうしろって言うんだよ。」


思わず弱音を吐いた。


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