その瞳に映るのは
渡辺に班を誘われた時の紗夏の言葉。
松田のおまけ。
自分をそんな風に言うくらい必死に俺と渡辺から離れようとしてたんだな…。
「大丈夫だよ。もう紗夏は四天王並みに有名人になったんだから。四天王と一緒にいないと逆に不自然に見られるよ。
それに紗夏の運動着の犯人が何処から見てるかわからないからね。」
そうだ。
紗夏は狙われてる身だ。
帰宅部でチャリ通の紗夏なら登下校に絡まれる率は低いだろ。
うちの高校は駅から通う生徒が大多数だ。
高校の近くにある2つの中学校の卒業生くらいしかチャリを使わない。
だから狙われてる率は低いと思うが、この時間に家に帰るまで徒歩だと知ってるのは俺だけだろう。
紗夏が俺の側に来てくれたからそのまま自然に歩き出す。