その瞳に映るのは
頭を撫でた手を細い肩にまわして抱くと少しだけ力を入れて俺の真横に来るように肩を押した。
無抵抗の紗夏が真横に並ぶとすぐに肩から手を離した。
本音を言えばそのまま手を繋ごうかと思ったが、まだ彼氏になれてない俺は逃げられない程度にとどめるしか出来ない。
「あのさ、さっき誠に怒鳴られたって言ったろ?だから誠に聞けなかったんだけどさ…。」
これを紗夏に聞いてもいいのか迷ったが、どうしても気になった俺は問いかけた。
「誠に何を言われて紗夏は泣いたの?」
無意識に動いた俺は、紗夏を覗き込むように視線を合わせて左手で目元に触れた。