その瞳に映るのは


視線の先の瞳がぱっちりと見開いて俺を映していた。


けど俺を確認した途端に顔を真っ赤にさせた。



その反応に気持ちが浮き立った。
その気持ちがすぐに俺の顔に出る。



嬉しくて視線はそのままで微笑んだ。




その途端に聞こえた紗夏の慌てる声。


「な、成瀬くんっ、それは、あのっ、宮野くんは、悪くなくて、本当に相談にのってもらってただけで…。」


これ以上は無理とばかりに更に真っ赤に頬を染めた紗夏が視線を外して俯きがちに話しだした。


でも俺の左手はそのままだった。




紗夏に嫌がられてない。




それだけで満足だった。




手を離して紗夏の話を聞く。


「泣いたのは、その……、嬉しかったから。」


「嬉し泣き?」


意外な一言に思わず呟いた。


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