その瞳に映るのは


そんな気分のまま、松田に電話した。



昨日も寝る前に電話した。



せめて電話だけでも甘い雰囲気にしたいのに松田もまたなかなか手強い。




俺の彼女のくせに。



再戦するかの如く気合を入れて電話した。




「よっ。今平気か?」


『何?』


電話に出たくせにいきなり素っ気ない。


「用がなけりゃ電話してくるなとでも言いそうな雰囲気だな?」


軽く笑いながら言った。

なのに。


『……わかってるならかけてこないでよ。』


松田の返しに焦った。


「……どうかしたのか?」


真面目に切り返したけど。


「別に。」


取り付く島もない。


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