その瞳に映るのは


「止めろってば。猪瀬がやると洒落にならん。」

渡辺くんが猪瀬さんの腕を取って払った。



「本当、三島がうさぎに見えてくる。」

宮野くんが困った顔で私を見た。



「…うさぎ?」


思わず呟いたら、成瀬くんと話してた男子が吹きだした。



「ぷっ。ヤバい。マジでうさぎに見えるっ。猪瀬も近くで見ると超怖ぇー。渡辺も必死だし、何なんコレ最強過ぎね?」


笑いを堪えながら話す男子が私の方を見る。


「うるせーよ王子。お前三島さんに話しかけんじゃねぇぞ。」


渡辺くんが珍しく苦々しい表情で吐き捨てた。



王子?あだ名?




「わかったよ。三島さん、俺も今日からよろしくね。」

「お前…。」


軽い挨拶の後にウインク…。


あ。

四天王のテニス部の王子くん?



「よ、よろしく。」


何がよろしくかわからないけど反射的に返事した。


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