その瞳に映るのは


「それじゃ私、自転車置いてくるね。」



昨日の運動着の話のせいか、いつもより感じる視線に耐えかねてそそくさとこの場所から離れようとした。


「それなら俺も行くよ。あんな人気のないとこ危ないからね。」



その一言で思った。



もしかして渡辺くんが早く来たのは、私が狙われてるせい?


昨日、成瀬くんも言ってたし…。



違う意図があったとしても一人よりは安心かと素直に渡辺くんの気遣いに感謝した。



「ありがとう渡辺くん。」



視線の矢は慣れないけど、皆にこれ以上迷惑かけたくない。


私がお礼を伝えると渡辺くんが自転車に手をかけた。


「俺のも後ろに乗せていい?チャリは俺が押してくから。」


言うが早いか、すぐに荷物を後ろに置いて押さえながら自転車を押しはじめた。


「ありがとう。あ、渡辺くんはメロンパン好きだよね?甘いものは平気?」


自転車のハンドルにかけていた手提げバッグに手をかけると渡辺くんが取ってくれた。


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