その瞳に映るのは


「へえー。こっちってこんなんなってたんだ?チャリ使わないから知らなかったな。」

「一応、こっちの屋根が2年生。台数少ないから皆適当に停めてるの。」


そう伝えると渡辺くんが自転車を停めて鍵もかけて渡してくれた。


「じゃあ行こうか。」


声をかけながら渡辺くんは私の旅行バッグを持ったまま歩き出した。


「わ、渡辺くん!荷物持つよ。」


いつもより大きい荷物。

自分のと私の2つも持てば流石に重いはず。



「平気だよ。一応鍛えてるから。三島さんが持つと時間かかりそうだし。」


笑いながら話す渡辺くんを見て思った。


前はよく話しかけられてたけど、最近は渡辺くんとこんな風に話してなかったな。


「それにバッグから目を離せないからね。昨日の今日だし。」



あ。そういうことか。

また荷物荒されたら嫌だもんね。



「ありがとう。」


今日、何度目かわからない感謝の言葉を口にすると渡辺くんが微笑んだ。


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