その瞳に映るのは


体育館に入るとまだ早い時間だからか数人がまばらにいる程度だった。


私と渡辺くんは適当に壁際に寄りかかり、足下に荷物を下ろして皆が来るのを待った。



「……昨日はごめん。」


渡辺くんが突然謝ってきた。


「え?あー、私こそ誤解させてごめんね。
…昨日は、宮野くんに話を聞いてもらってちょっと嬉しくなったら、なんか急に泣いちゃったから…。」


「嬉しかったの?」


渡辺くんがびっくりして聞き返してきた。


「うん。…自分が考えてたことが違う意味だったことに気付いて安心したら、つい…。」


「そっか。……宮野に謝らなきゃな…。」


ため息を吐きながら壁に背を預けて天井を見ながら何か考えてるような渡辺くん。


「うん。そうして。私のせいで渡辺くん達が気まずいのは嫌だから。」


「そうだな。明日は修学旅行だしな。」

私が声をかけたら少し微笑んで私を覗き込んできた。


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