その瞳に映るのは
「え?」
私の質問に少し驚いた表情。
「え?あ、チョコの数。成瀬くんのが多いみたいに言ったから。」
「あ、そうかな〜って思っただけ。」
「チョコ好きなの?この前いっぱい貰ってたみたいだけど足りなかった?」
そんなにチョコが好きなのかと思って思わず笑うと、渡辺くんの表情が変わった。
「気になってた子から貰えなかったから意味ないんだけどね。」
少し寂しげにどこか遠くを見るような雰囲気の渡辺くんを見て思い出した。
私が他のクラスの女子に呼ばれた時に聞かれた渡辺くんの好きな子。
「……そういえば、渡辺くんの好きな子知ってるか聞かれたよ。」
周りには人がいなかったけど、少し声を潜めて言ったら渡辺くんが振り返った。
「は?」
その驚いた表情に思わず焦った。
そうだった。
好きな子なんて普通は内緒にしときたいよねっ。
「あ、もちろん知らないって言ったよ。」