その瞳に映るのは
珍しい3人 Part 1
「紗夏ーーっ!」
そんな時に聞こえた美優ちゃんの声。
声が聞こえて探すとすぐ近くまで走って来てた美優ちゃんに抱きつかれた。
「紗夏、昨日はごめんねっ。いつでも何かあったら言ってね。」
抱きつかれたまま美優ちゃんの声を聞いていたらまた泣きそうになった。
声を出したくても泣き出しそうになるから首を横に振って美優ちゃんの声に返事した。
「おはよう三島さん。また何かあったの?」
そう声をかけながら私の頭を撫でたのは猪瀬さんだった。
美優ちゃんに抱きつかれたままで猪瀬さんと目が合うと頭を左右に振って否定した。
けど、猪瀬さんの表情が少し変わった気がした。
「班長、これ私の荷物。後は宜しくね。
これ以上、三島さんを見世物にしたくないから先に教室戻るよ。三島さんのバッグもちゃんと見張っててよ。」
猪瀬さんがそう言って私の手を掴んで歩き出そうとした。
「三島さん、教室戻ろう。」
猪瀬さんのその声で足下にあった自分のスクールバッグを取って歩き出した。