その瞳に映るのは


「紗夏、ずっとそのバッグ持ってるけど何か大事な物なの?」


そう言われるまで忘れてた。


「あ、これ、皆に作ってきたの。」


手提げバッグを広げて中を見せた。


「この前から皆に迷惑かけてばかりだから…お礼にもならないけど、皆に食べもらえたらと思って。
でも、さっき高田くんに渡しそびれちゃった。」


「高田?もしかして王子にも?あとは俺らの班に配るの?」


「うん。お昼に配ろうと思ったけど高田くんは別のクラスだから…。」


「それなら高田に連絡しとくよ。」


成瀬くんはそう言ってポケットからスマホを出して操作しだした。


少しするとバイブが鳴った。


「昼に高田も来るって。」


そう言ってスマホの画面を私に見せてくれた。


「ありがとう成瀬くん。」


私のためにすぐに行動してくれたことが嬉しくて感謝を伝えた。


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