その瞳に映るのは


その後、少しづつ教室に戻ってきたクラスメイトに気付かれてはいたが、成瀬くんはずっと態度を変えなかった。



私と成瀬くんは同じ班だからか、最初こそ遠巻きに見ていたクラスメイトもすぐに慣れて思ってたほど騒がれなかった。



そのうちに猪瀬さんが戻ってきたけど、猪瀬さんは全く気にすることなく私の側にいて私と成瀬くんの話しを聞いていた。



「成瀬も呼んでるなら私も紗夏って呼んでいい?」



と聞いてくれたから喜んで了承した。



「紗夏はやっぱり笑ってる方が可愛い。」


なんて猪瀬さんが私の顔を覗き込みながら言うと、成瀬くんが賛同した。

「けど、猪瀬が言うと女同士の会話に聞こえないから怖い。」

と笑いながら成瀬くんが言った。



成瀬くんも猪瀬さんもお互い気にすることなく話す今の雰囲気が嬉しかった。


< 336 / 370 >

この作品をシェア

pagetop