その瞳に映るのは

珍しい3人 Part 2



昼休みになると美優ちゃんと班の男子3人はパンを買いに教室を出て行った。


教室に残った私と猪瀬さん。



猪瀬さんと二人きりになった事がなかったから思い切って今朝の事を聞いてみた。



「あの、猪瀬さん。」


「ん?何?」


「あの…今朝の事なんだけど、ありがとう。」


「今朝?お礼言われるような事あった?」


「体育館から連れ出してくれたことと…成瀬くん…。」


成瀬くんの名を言う時は流石に小声になってしまったけど、猪瀬さんにはちゃんと聞こえていたみたい。



「言ったでしょ?紗夏は笑ってると凄く可愛くなるんだよ。私はその笑顔が見たかっただけ。」


「笑顔…?」


「紗夏の一番可愛い笑顔は成瀬がいないと見られないからね。」

少し控え目な声で猪瀬さんはにっこりと笑いながらそんな事を言った。


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