その瞳に映るのは
「紗夏?鳴ってるよ?」
「あ…う、うん」
スマホに視線を落としたままなので、俯向いた状態の私の顔は髪に隠れて見えないはず。
内心で焦っていたが必死で冷静になろうとしていた。
ただのメール着信でなく、電話の着信。
そのままだと音が鳴り続けてしまうので慌てて通話を押した。
けど無言の私。
電話の相手も話さない。
画面にはその時を静かに知らせる通話時間だけがカウントアップしていた。
…7、8、9…。
思わず魅入った秒数も12秒になると慌てて回線を切った。
ただそれだけなのに私は内心かなり動揺してた。
私がずっと画面を見てたからか、美優ちゃんはメールの着信音だと思ったようで詮索されなかった。
どうして……。
通話を切ってもまだその着信画面をじっと見つめたまま身動き出来なかった。