その瞳に映るのは
* * * * *
自転車で成瀬くんの背中を追いかける。
見慣れた道を走っていたから気付かなかったが成瀬くんが停まって自転車から降りたのは中学校の裏手にある小さな神社。
「ちょっと寄り道。」
はにかんで笑う成瀬くんが手を差し出した。
だから私も自転車を停めて成瀬くんの手に自分の手を重ねた。
そのまま成瀬くんに手を引かれて鳥居をくぐって階段を登る。
するとすぐに小さな境内にたどり着く。
成瀬くんは本殿でなく、境内の木々が途切れている隅の方に私を引いて歩く。