その瞳に映るのは
見動き出来ない程。
その私の肩に成瀬くんが頭をのせた。
「…今だけは逃げないで……。」
やっと捻り出したような成瀬くんの声。
その声を聞いた途端、感情が溢れ出た。
両手で成瀬くんのシャツを掴んで縋りついたまま泣いた。
「紗夏…。」
私が泣き出したからか、きつく抱きしめていた腕が緩んだ。
背中に感じていた体温が消えて悲しいと思った時には頭を成瀬くんの胸に押し付けられていた。
「好きだ。中学の時からずっと紗夏が好きなんだ。」
成瀬くんの声が聞こえた。
「ずっと紗夏の側にいたい…。
だから俺を選んで。俺に紗夏を守らせて。」
成瀬くん…。