その瞳に映るのは
成瀬くんの告白を聞いた瞬間に止まった涙は、一瞬にして嬉し泣きとなり再び溢れ出た。
「好き。…成瀬くんが好き。」
泣きながら懸命に声を出した。
「成瀬くんの、彼女じゃなきゃ、嫌…。」
「俺も。俺の彼女は紗夏だけだ。」
耳元で聞こえた成瀬くんの声が嬉しかった。
「…紗夏。俺を紗夏の彼氏にして。」
名前を呼ぶ声が甘く感じた。
成瀬くんの手が頬に触れる。
涙を優しく拭う手が嬉しい。
その手に誘われて顔を上げると近い位置で成瀬くんと視線が合った。
瞳の奥に映る私が見えた。
その瞳に吸い込まれるように目を閉じる。
唇に触れた初めての感触。
その感触が消えると途端に頬が熱くなった。
目を開けると、優しく微笑む成瀬くんを見て私も自然と微笑んだ。
それでも成瀬くんの瞳に囚われた私は視線を逸らせられない。
「好きだよ。」
再度、甘い言葉と熱い視線で告げられた甘美な誘惑に瞳を閉じた。