その瞳に映るのは
* * * * *
翌日早朝。
駅に集合した班の皆の前で成瀬くんに抱きしめられた。
「あれ〜?三島って成瀬と付き合ってるの?」
抱きしめられた私を見た王子くんがわざとらしい大きめの声で話しかけて来た。
「……お前のせいで紗夏が無駄に泣いたんだからなっ!」
成瀬くんが私から離れて速攻で王子くんのみぞおち辺りに一撃をお見舞いした。
「っう……っ…。ガチで殴んじゃねぇよっ…。……三島がドン引きしてるぞ…。」
痛みに耐えながら王子くんが言うと成瀬くんは当然のように言った。
「お前がわざと紗夏に触れてたのをそれでチャラにしてやっただけだ。渡辺まで巻き込みやがってっ。」
そう言いながら成瀬くんは再び私を抱きしめた。
すぐ近くにいた渡辺くんは苦笑いで王子くんを見てた。
「成瀬、てめぇ…彼女を手に入れた途端、態度変わってねぇか?」
「悪ぃな。これが地なんだよ。」
表情を変えない成瀬くんに、驚く王子くん。
「……宮野、マジか?」
王子くんに問われた宮野くんは苦笑いで言った。
「雅人が大人しいのは三島絡みの時だけだ。三島が側にいるならもう大人しくならねぇよ。残念だったな?」
その声を聞いた王子くんが私を見る。
思わず苦笑いで返すと王子くんが膝をついた。
その日から四天王の成瀬・最強説が広まった。
その四天王を束ねる裏番と噂された女の子に近付く者はいなくなったようだ。
ーー Fin ーー