その瞳に映るのは
翌日、クッキーを持って来たか聞かれた。
お弁当でない日に作るわけないでしょと思ったがいちいち言うことでもないかと気にしなかった。
翌日にまた催促された時は流石にお弁当の日じゃないと持って来ないよと伝えた。
当時、クラスでお弁当箱に手作りデザートを入れて持ってくるのが流行った時期だった。
だから私も有紀ちゃんに作ってきただけ。
他の女子から貰って食べてる成瀬くんは女子皆んなに持って来てと言っていた。
お菓子をねだる子供みたい。
それが私の成瀬くんへの印象。
だからわざわざ成瀬くんの為に作るつもりなかった。
けど、お弁当の度に持って来たか聞かれてたので隣の席同士、徐々に普通に話すくらいになった。
それでも、社交辞令を真に受けるつもりはなくて作る気すらなかった。
ただ成瀬くんの隣の席に座る女子。
そんな立場の私も次の席替えで成瀬くんとはただのクラスメイトになった。