その瞳に映るのは



『……もしもし…三島?』



「…………成瀬くん?」


本当に?成瀬くん?

教室で宮野くん達と話す成瀬くんの声を聞いてるはずなのに、ずいぶん久しぶりに聞こえる声。




『急にごめん。』



成瀬くんの声を聞いて嬉しいと思ったのは一瞬だけで、いきなり謝った彼の言い淀む雰囲気を感じて中1の記憶が蘇った。




「……また何かあった?」



『……。』



また何か言いづらそうな事なの?

不安に押し潰されそうになりながら、頑張って問いかけた。



「……私、また成瀬くんに迷惑かけた、のかな…。」


……私と修学旅行の班が一緒なのがダメだった?

気になっていた学校での着信。

聞きたいのに聞けない、聞きたくない事を言われるのかと不安に押し潰された。



『違うっ。ただ…。』



言い難そうな声が胸を締めつける。

突然押し寄せた不安の波が堰を切って溢れ出た。


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