その瞳に映るのは



結局あれから布団に入ってもほとんど寝られなかった。



それでも変な顔は見られたくなくて、朝から鏡の前に張り付いた。



普段もメイクなんて全然やらないからいきなりしたら変に思われる。

結局、ビューラーとリップだけして髪を整える。



……って、私何やってるんだろう。



昨日と変わらず学校に行くだけなのに。



本当に成瀬くんから声をかけられる保証なんてない。

声をかけられるとしてもきっと朝の挨拶だけだ。



それだけの為にこんな事を気にしてるなんて…。



こんなに舞い上がってて、結局昨日と同じだったら………。



昨日のあの電話の後、何度も舞い上がっては急降下する気分のループ。



本当に胃が痛くなってきた……。



ともすれば学校を休もうかなと闇の奥に戻ろうとする心を何度も奮い立たせて喝を入れる。



話しかけてくれなくてもいい。



いつものように視線を逸されても……。




………。






視線を逸す……?

成瀬くんが?







……。




視線を逸していたのは私だ…。


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