その瞳に映るのは
とにかく。
肩から手を離してはいたけど、左腕側に体温を感じる近さに立つ成瀬くんに囁いた。
流石に至近距離で顔は見られなくて成瀬くんのバッグを持つ手元を見ながら話しかけた。
「あの、成瀬くん。宮野くんの事、教えてくれてありがとう。……まだ慣れないけど、普通に話しかけてくれて大丈夫だから。」
「分かった。またよろしくな。」
落ち着いた雰囲気の成瀬くんの声が頭上から聞こえた時に、頭を優しく撫でられた。
途端に固まる私。
「おーい…さっさと教室行こうぜー。」
少し離れた場所から宮野くんの呆れ声が聞こえて、どうにか歩き出したけど顔は上げられないままだった。